調査レポート
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タイミー、一次産業におけるスポットワーク利用実態レポートを公開

 スポットワークサービス「タイミー」を提供する株式会社タイミー(所在地:東京都港区、代表取締役:小川 嶺)は、一次産業におけるスポットワーク利用実態レポート(2025年6月版)を公開いたします。

人手不足や高齢化に直面する一次産業

 日本において重要な産業の一つである一次産業では、少子高齢化や都市部への人口流出を背景に、近年人手不足が深刻化しています。総務省が発表した労働力調査の結果によると、2024年の農林業における就業者は180万人と、前年より7万人減少(※1)。水産業においても、2023年時点の漁業就業数は12.1万人で、2048年には6.8万人まで減少することが想定されています(※2)。このように就業者の減少・⾼齢化が進み、産業の担い手不足が懸念されています。

※1: 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/index.html

※2:2025年4月 水産庁 水産をめぐる事情について
https://www.jfa.maff.go.jp/j/policy/kihon_keikaku/attach/pdf/index-31.pd

 

直近2年間で導入事業者数約8.7倍 一次産業に急速に広がるスポットワークの活用

 一次産業における人手不足の状況を受け、タイミーでは2023年11月より農業専門チーム、2024年春にはさらに領域を広げ一次産業に特化したチームをつくり、事業者へのサポートを強化してきました。タイミーの基本操作や求人を出すうえでのポイントなどをまとめた専用ガイドブックの制作をはじめ、業務の切り分け方法の提案など、スポットワークを導入しやすい体制を整える取り組みを行ってきました。また、自治体やJA、漁業組合などの経済団体とも連携し、各地域で説明会や個別相談会も実施することで、農家・水産事業者などの関係者に向けたスポットワークの認知活動やサポートも積極的に行っています。

 これらの取り組みを通じて、タイミーに求人を掲載する一次産業(農業・漁業など)の事業所数は、2023年4月から2025年4月の2年間で約8.7倍に増加。事業所数の増加によって求人の募集人数も同期間で約5倍に広がりを見せ、特に人手が不足する農業の農繁期に合わせて募集人数が増えています。

 旬の時期が決まっている作物や水産物を扱い、天候や自然環境にも影響を受けやすい一次産業。だからこそ、繁閑変動や突発的なニーズに合わせて人員確保ができるスポットワークとの親和性が高く、人手不足解消への新たな解決方法として、各地の事業者で取り入れられはじめています。

47都道府県で農業分野でのスポットワーク導入が進む

現在、野菜・果物選果場を中心にスポットワーク利用農家が増え、全ての都道府県で農業分野の求人が出ています。収穫作業や選別・調整作業(※3)、出荷作業など未経験者でもできる比較的簡単な仕事を中心に、農作業の年間スケジュールに合わせた業務の切り出し提案を行い、多様な工程でスポットワークを活用いただく事例が増えています。また、作物ごとに栽培方法や収穫時期が異なるため、それぞれに合わせた業務切り分け方法をまとめた事例集も作成。掲載作物は30以上あり、さまざまな農家で導入が広がっています。

※3:調整作業:収穫した野菜を市場に出荷できる状態にするための一連の作業のこと。

スポットワークが新規就農の入り口に 導入1年で15名以上が長期採用につながった農家も

 一次産業において、就業者の高齢化や人手不足が課題となっている中、新たな担い手の確保も取り組むべき課題の一つとなっています。

 そうした中、大分県にて白ネギを中心とした農産物の生産・販売を行う農業法人では、スポットワークの利用をきっかけに3名が長期採用に。また他の農業法人でも、2024年の導入からすでに16名が長期採用、うち1名は正社員として採用された実績も生まれています。スポットワークでの就業を通じて、未経験者から本格的に就農するケースが見受けられるようになってきています。

 このように、面接・履歴書なしで働くことができるスポットワークだからこそ、農業との接点を身近につくることができています。農業に関心はあるが一歩踏み出すことができなかった方や、スキマ時間の活用を通じて農業に触れ関心を持った方など、学生や会社員をはじめとする新たな担い手となりうる潜在的な層との出会いを生み出していくことで、長期採用や新規就農の新たな入り口としてさらなる貢献を目指してまいります。

生産性向上や従業員を巻き込んだ職場改善にも貢献 選果作業効率が上がり出荷量は3倍に

 スポットワークの導入によって、生産性の向上や職場改善にもつながった事例も出てきています。愛知県を中心に農業・農園を運営する農業法人では、スポットワークの導入をきっかけに選果作業が1/2、出荷量が3倍に。ワーカーからのレビュー機能やワーカー受け入れ体制を整える中で見えた既存のルールに対する疑問や新たなアイデアから、従業員を巻き込んだ職場の改善や業務の効率化がなされています。

その他、農業事例については、当社オウンドメディア「タイミーラボ」の記事をぜひご参照ください。
▼「タイミー導入1か月半で新規事業責任者も採用へ。経営ビジョンを見据え農業人材確保を行う、シセイ・アグリの人材戦略」
https://lab.timee.co.jp/blog/mylife/interview0069

▼「選果作業効率が上がり出荷量は3倍に。従業員の意識も変化した農事組合法人の戦略的なタイミー活用法」
https://lab.timee.co.jp/blog/mylife/interview0064

フィッシャーマン・ジャパンと業務提携 次世代に続く水産業を目指す

 水産業も、近年深刻な人手不足に直面しており、漁業だけでなく、水産加工業など水産業全体にわたる課題となっています。2023年時点の漁業就業数は12.1万人で、2048年には6.8万人まで減少することが予測されています。また、水産加工業の就業者数は2023年で13.3万人となっており、水産加工業者の5割近くが「従業者確保の困難」が課題であると回答しています(※4)

 さらに近年の海洋環境の変化や休漁の影響で、漁師の収入が不安定になるケースの増加も業界の課題です。とくに不漁・休漁となった場合には、別の仕事が必要とされており、通年で安定的に働ける仕組みの構築も求められています。

 このような状況を受け、漁業においても人手不足解消に向けた取り組みを行ってまいりました。水産・冷凍加工工場での仕分けやピッキング、梱包作業をはじめ、魚市場での魚の計量作業など、水揚げ量によって必要人数に変動が出る漁業の現場においても、スポットワークが貢献できる可能性をかたちにしながら、サポートに力を入れています。

▲魚の計量作業や仕分け補助作業の様子

 また、2025年6月に一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンと業務提携を開始(※5)。水産業の継承や変革を目指して次世代の担い手育成事業やプロモーション事業に取り組んできたフィッシャーマン・ジャパンと、水産加工業(※6)などにおいてスポットワークの活用を推進してきたタイミーの両者が培ってきたノウハウを活かしながら、水産業における人手不足をはじめとした課題解決を目指します。

※4:2025年4月 水産庁 水産をめぐる事情について
https://www.jfa.maff.go.jp/j/policy/kihon_keikaku/attach/pdf/index-31.pdf
※5:参考プレスリリース「タイミー、フィッシャーマン・ジャパンと業務提携」
https://corp.timee.co.jp/conts/news/detail-4575/
※6:タイミーは、職業安定法に基づく有料職業紹介事業者としてサービスを提供しています。水産業・水産加工業の業務のうち、職業安定法上紹介が禁じられている建設業務や港湾運送業務の紹介は行っておりません。

連携協定を結んだ北海道洞爺湖町 地域特有の一次産業をきっかけに産業と地域の活性化へ

 2024年8月に、タイミーは北海道の中央南西部に位置する洞爺湖町と包括連携協定を締結し、洞爺湖町が抱える人手不足などの地域課題の解決に取り組んできました。漁業や農業も盛んに行われている地域だからこそ、地域特有の一次産業にも焦点を当てサポートを行っています。

 その中で、地域産業であるホタテ漁の業務で人手不足が発生している状況を受け、スポットワークを導入。事業者のスポットワーカー受け入れ負担の軽減や、初めてのワーカーでも分かりやすく円滑に業務を行えるよう、漁業では初めてとなる業務マニュアルを作成しました。一次産業チームが現地に赴き、漁師の方にも話しを聞きながら実際に業務を体験し作成することで、事業者・ワーカーの両者にとって活用しやすい内容を追求しています。

 スポットワークを活用しているホタテの耳吊り業務(※7)の仕事は、募集を開始してから多くのワーカーとマッチングしており、地域産業の人材不足解消を通じて、産業や地域の活性化にも貢献できるよう、今後も取り組みを進めてまいります。

※7:ホタテの養殖作業。ホタテの耳の部分に穴を開けて糸を通しロープに結んだあと海に吊るす。

▲ホタテの耳吊り

▲ピンにホタテを1枚ずつ刺していく作業の様子

酪農やコメ関連にもスポットワークが広がる 人手不足による新たな課題に貢献

 一次産業におけるスポットワークの活用領域は、広がりを見せています。
 導入が難しいとされていた酪農においても、搾乳などの業務にて、未経験者ワーカーに向けた業務の流れや実施方法などを説明するマニュアルを動画で作成し、スポットワーク導入を検討する酪農家の負担を軽減できるようサポートを行なっています。

▲乳牛の搾乳やエサやりなどの作業でスポットワークを導入

 コメ関連においても、コメの精米・運搬、田植え作業の補助、米袋のシール貼りなど、年々求人の募集人数が増えています。また昨今、コメ価格の高騰や供給不足が課題となる中で、コメの流通過程において玄米から白米への加工を担う精米工場では依頼が殺到しており、精米が追いつかない状況が報じられています。 逼迫する精米工場でのスポットワークサービスの活用を促進することで、精米工業の人手不足や全国のコメ不足の課題解決に向けた取り組みも開始いたしました(※8)

※8:参考プレスリリース「タイミー、精米工場への支援策としてサービス利用料無料の取り組みを開始」
https://corp.timee.co.jp/news/detail-4539/

 一次産業における深刻な人手不足を受けて、スポットワークの需要も年々高まりを見せています。スポットワークを導入する一次産業の事業者からも、「長期採用につながった」「業務の負担が軽減した」などの声が多数届いております。

 タイミーでは今後も専門チームを中心に、農家・水産事業者・酪農家などの一次産業に携わる方々や、JAや漁業組合などの経済団体、自治体と連携し、一次産業のさらなる発展に向けて取り組んでまいります。

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