
スキマバイトサービス「タイミー」を提供する株式会社タイミー(所在地:東京都港区、代表取締役:小川 嶺)は、一般社団法人関西イノベーションセンター(所在地:大阪府大阪市、理事長:早乙女 実)と連携し、「タイミー」を活用した「伝統・地場産業雇用支援」の実証プロジェクト(以下、「Work to Link」プロジェクト)を実施しました。この度、「Work to Link」プロジェクトにおける製造現場の人材確保に関する実証結果と、タイミーを通じて製造現場での就業経験を持つワーカーを対象に実施したアンケート調査結果をまとめたレポートを公開します。
「Work to Link」プロジェクトとは
2024年12月に、当社と一般社団法人関西イノベーションセンターが業務委託契約を締結し、同法人が運営するイノベーション拠点「MUIC Kansai」が推進する課題解決プログラムとして開始したプロジェクト。スポットワークを通じた、大阪の伝統・地場産業における人手不足や技能継承等にまつわる課題解決を目指し、タイミーを活用した「伝統・地場産業雇用支援」の実証を行いました。
<参考>
プレスリリース「タイミー、スポットワークを通じて 大阪を中心とする地場産業の雇用を支援する実証プロジェクトを開始」:https://corp.timee.co.jp/news/detail-3989/
「Work to Link」プロジェクト:https://worktolink.muic-project.jp/
「Work to Link」プロジェクトにおける実証内容
2025年4月から2026年1月までの期間、実証として大阪府内の製造事業者(8社)において「タイミー」を活用し、実際に製造業の未経験者等を受け入れ、現場でのスポットワーク活用のノウハウの蓄積を行いました。また、タイミーを通じて製造現場で就業した経験を持つワーカーを対象としたアンケート調査を実施しました。
・実証期間 : 2025年4月1日〜2026年1月31日
・定性的評価(インタビュー): 2026年1月・2月(実証参加事業者の経営層・現場責任者へのヒアリング)
・定量的分析(アンケート) : 2026年1月13日〜1月16日(有効回答数397名)
実証期間中に出された求人の業務内容
各事業者が業務の切り出しを行う際、以下の3つの指標を軸に検討を進めていたことが、事業者インタビューを通じて明らかになりました。
- 品質への影響 :(例)最終検品や高度な品質判断は正社員が担い、その前段の付随業務を切り出す。
- 技術・知識の要否:(例)15分程度のレクチャーで、未経験者でも作業を開始できる内容に絞り込む。
- 安全・機密保持 :(例)事故のリスクが低い工程や、機密情報に触れない環境に限定して配置する。
これらの考え方に基づき、実証参加事業者の製造現場の各工程において、以下のような具体的な業務がスポットワークとして切り出されました。

実証から見えてきた「5つの発見」
1.製造業界との「新しい接点」が生まれ、未経験層が流入
「Work to Link」プロジェクトを通じて、従来の求人手法では接点を持ちにくかったと考えられる「製造業の未経験者」や「製造業の就業ブランクのある層」が、スポットワークを通じて製造現場へ流入する傾向が確認されました。
◾️稼働率とリピーター率(実証参加事業者8社の実績)
実証期間中に出された募集491名に対し、稼働率は96.3%(稼働人数473名)となりました。これはタイミー全業種の平均稼働率(約86%:FY25/10 4Q実績より算出)を上回る数値であり、多くの参画事業者において8割以上の稼働率が実現しました。また、稼働の約7割が「リピーター」によるものでした。これは、単発利用に留まらず、ワーカーと特定の現場との間で継続的な関係性が構築されていることを示しています。
◾️多様な属性の流入と、広域からのマッチング(実証参加事業者8社の実績)
・属性の多様化 :30代以下の若年層が約半数、女性が約4割を占めており、多様な層と製造現場との接点が生まれています。
・広域からの集客力:事業所が立地する市区外からも広域にマッチングが発生。約6割の稼働が、市区外に在住するワーカーによるものとなっています。
これらの結果から、スポットワークという形態が、従来の採用手法ではリーチが困難であった層の開拓に寄与していることが示唆されました。

※n数は、性別・年代は139(実証期間中に実証参加事業者8社で稼働したワーカーの実人数。リピーターとして働くワーカーが一定数いることから、稼働人数473人とは異なる)、職業は92(タイミー登録属性に基づき集計しており、未登録者が一部存在)、居住地は473(稼働ベース)である。
◾️製造業の経験者と未経験者がバランスよく流入(アンケート調査結果)
過去にタイミーを通じて製造事業者の現場で就業した経験を持つワーカーを対象に、実態調査を行いました(有効回答397名)。その結果、即戦力となる「経験者層」の確保と、新たな「未経験層」の取り込みが両立できている実態が明らかになりました。
- 習熟度の高い経験者層の確保
就業者の約6割が製造業の経験者であり、そのうち4割以上が「3年以上の経験」を持つ習熟度の高い層でした。スポットワークという形態が、潜在的な経験者層を掘り起こす可能性を示唆します。 - 新たな人材層(未経験者)の流入
一方で、全体の約3割は製造業未経験者でした。これまでの採用手法では接点がなかったと考えられる層に対しても、スポットワークが「製造現場への入り口」としての役割を果たし、新規の人材確保に寄与していることが確認されました。

※n=276。SA。アンケートにおいて「あなたのこれまでの製造業界での経験はどのくらいですか。一つお選びください。」(Q2)と質問をしたもの。

※n=397。アンケートにおいて「あなたは、これまで「タイミー」や「別のスキマバイトサービス」のほかに、製造業界でお仕事をした経験はありますか。最も近いものを一つ選んでください。」と質問をしたもの。
2.「教え方の工夫」により、未経験者もすぐに現場の戦力に
製造現場へのスポットワーク導入において、「事前の準備」と「就業中のフォロー」を工夫することで、教育負担を抑制しながら戦力化を実現することが可能であることが確認されました。
・1人1工程への絞り込み(シングルタスク化)
複数の工程を習得させるのではなく、単一のタスクに限定して依頼することで、指導時間を短縮する事例が見られました。
<実証事業者の声:「担当業務を1つに絞り込むことで、全工程を教える必要がなくなり、現場の教育負担を軽減できた。」>
・「現場のリアル」の見える化によるミスマッチ防止
求人原稿において、作業環境や負荷を具体的に数値化・明文化することで、適性のあるワーカーを募る工夫を行う事例が見られました。
<実証事業者の声:「ゴムの匂いが苦手な方は応募を控えてくださいと明文化し、ミスマッチを未然に防いでいる。」「ミスマッチが起きないように『15kg程度までのものは1人で運んでいただきます』と求人原稿に記載した。」>

◾️就業中のフォロー体制:業務特性に応じた指導
作業の継続的なチェックや質問への対応について、各事業者の現場環境に合わせた多様なフォロー体制が確認されました。
・「隣接・並走」型
ワーカーと同じ場所で従業員が業務を行うことで、不明点をその場で解消し、初期教育の負担を抑える方法。
<実証事業者の声:「常にワーカーの隣に従業員がいる状態を作り、不明点が生じた際はその場で確認できる体制にした。」>
・「段階的自走」型
常時の並走が難しい場合、初期の短時間集中レクチャーを経て、段階的にワーカーが自走できる状態へ導く方法。
<実証事業者の声:「『まず従業員と一緒に作業をしてみる』→『側について見守りながらワーカーに作業してもらう』→『問題なければ従業員は離れて、何かあれば適宜相談してもらう』という流れで教育をしていった。実際に一人で作業してもらうまでに、15分程度の時間だった。」>
・「リピーター活用」による習熟度の向上
特定のワーカーをリピーターとして確保することで、中長期的に教育コストを低減させる取り組みも見られました。
<実証事業者の声:「現場の担当者が現場で見極めをし、リピーターの希望者のリストを作り、経営層に提供。そのリストに基づき、リピーターを募集している。現在は、教育は基本不要となっている。」>

3.「お試し就業」の活用で、納得感のある長期採用へ
本実証期間を通じて、参画した8事業者で働いたワーカーのうち計3名の長期雇用が成立しました。いずれも実際の現場作業を通じた相互の適性確認を経ており、入社後のミスマッチを構造的に防ぐ、質の高いマッチングが実現されています。
長期採用を実現した事業者の事例をもとに、以下の戦略的なステップが有効なものと考えられます。

4.ワーカーに補助的業務を任せることで、正社員が「本来の業務」に集中
ワーカーが梱包や搬送などの補助的業務を担うことで、正社員や熟練工が専門性の高い「本来の業務(コア業務)」に専念できることが、本実証を通じて確認されました。これにより、突発的な増産対応時においても、現場全体の生産性を維持・向上させ、従業員の負担軽減に寄与する効果が見られました。
<実証事業者の声 :「別注が発生した際、通常であれば従業員に1日1時間の残業が発生するが、スポットワークを導入することでその必要がなくなった。全従業員で換算すると、月間で約400時間分の残業削減に相当するポテンシャルがある。」>
5.業種を超えた労働力の活用
◾️共通する「ポータブルスキル」の存在と業種を超えた就業
・本実証期間中に参画事業者8社で就業したワーカー139名の属性を分析したところ、その約9割がタイミー上での「物流現場」の経験者であることが明らかになりました。他業種で培われた基本スキルが製造現場でも有効に機能することが示唆されます。
・物流現場等で求められる「安全への意識」「指示の理解力」「丁寧な荷扱い」「報告・連絡・相談」といった基本的な就業スキルは、製造現場の補助業務においても不可欠な要素です。他業種でこれらの基礎を習得したワーカーが製造現場で働くことで、一から教育を行うコストを抑えつつ、円滑に業務を遂行できる「技能の接続点」としての役割をスポットワークが果たしていることが示唆されます。
・この結果は、製造業未経験者であっても、他業種での就業経験を通じて得た汎用的なスキル(ポータブルスキル)を活用することで、製造現場の即戦力となり得ると考えられます。
今後の展望:製造業の課題解決に向けて
・「Work to Link」プロジェクトの結果、スポットワークと製造現場の間には高い親和性があることが明らかになりました。
・導入前、多くの事業者が抱いていた「未経験者に何ができるのか」「教育に時間がかかるのではないか」という懸念は、適切な業務の切り出しと受け入れ体制の工夫によって解消が可能であることが確認されました。さらに、単なる人手不足の解消に留まらず、外部の目が入ることで「教え方の標準化」が進み、組織全体のコミュニケーションが活性化するといった副次的効果も見受けられました。
・スポットワークは、補助業務の切り出しを通じて「製造技術者の専門性の深化」を促すとともに、従来の採用手法ではリーチできなかった「多様な人材の流入」を両面から支援する仕組みです。こうしたスポットワークの活用は製造業が抱える次世代への技能継承や、新たな人材との接点創出という課題に対し、有効な解決策となり得るものと考えられます。
本調査の詳細は下記リンクよりご覧ください。
▶https://spotwork.timee.co.jp/entry/case/muic-kansai
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:株式会社タイミー スポットワーク研究所「製造現場の人材確保に関する実証レポート(Work to Linkプロジェクト)」


